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 キューティー水野の二作目は、本物のリングを組み上げての撮影となった。一作目、二作目とコスト高の作品になったが、一作目の売れ行きが思ったよりも良くてかなりの黒字になったので、社長も少し贅沢をする気になったのだ。
 赤コーナーにはキューティー水野と、もう一人の女優。青コーナーには男優が二人、それぞれレスラーの扮装で控えている。
 キューティー水野とタッグを組んだ女優は、プロレスの技など何も知らない。水野が男優二人に捕まってピンチになった時、助けに出てきてすぐに捕まり、裸に剥かれて水野と二人で男優に犯されてしまうという設定になっている。
 青コーナーの男優二人もプロレスは素人だが、こちらはにわか仕込みで一応のレッスンを受けている。リング上で、キューティー水野と試合の真似事をすることになっていた。
 試合の前半はキューティー水野の一人勝ちで、男優二人がこてんぱんにやられることになっている。だが、途中で、一人と水野がリング上で闘っている間にもう一人がそっと背後に回り込み、水野を羽交い絞めにする。
 そこから先は、一転して男優二人が水野に次々とプロレス技を掛けて、水野をふらふらにさせるという展開だ。
「あっ、なにをする」
 シナリオ通り、男優の一人が水野を羽交い絞めにする。もう一人が、水野の腹に思い切り鉄拳をぶち込む。うっと呻いて、水野がうずくまる。
 ガチンコ勝負をしているように見えて、ちゃんとシナリオ通りである。男優は水野の腹筋の真ん中を殴った。しっかり力を入れていたら、なんの危険も無い場所だった。うずくまったのも、水野の演技である。
 続いて男優は、水野をロープに飛ばし、戻ってきたところにウエスタン・ラリアートをぶち込む。水野は監督の要請通り、ことさら大股開きでマットにひっくり返る。
 倒れ込んだ水野の頭を抱え込んで腕で締める。一見、首を絞めているように見えて、実は頭蓋骨に閂を掛けているのだ。水野の顔がみるみる赤くなっていくところを見ると、技は奇麗に決まっているらしい。男の太い腕で思い切り絞められると、普段の試合の時よりも痛いかもしれない。
 ようやく絞め技から開放されたところで、もう一人の男優が水野の髪を鷲掴みにして引き起こし、首投げで投げた。起こしては投げ、起こしては投げを、何度も繰り返す。
 次に男優は、水野を吊り天井に掛ける。両手両脚を決められた水野の体が、床に水平な状態で宙吊り状態になる。もう一人の男優は水野の下半身の方に回り込んでいって、指先で水野の股間をいやらしく擽る。水野は、体を震わせてああっと悲鳴を上げる。
 実は、今回の撮影で一番問題になったのがこのシーンだ。技術指導を引き受けてくれた例の会長が、このシーンに物言いをつけて来た。
「監督、いくらなんでも危険過ぎる。それはちょっと、許可できないよ」
 会長が言うには、吊り天井という技は、掛けられる側もしっかり全身に力を入れて姿勢を保っていないと形を維持できないのだそうだ。性的に責められて、水野の体の力が抜けて、変な崩れ方をすると本当に大事故になる可能性がある。元々、肩に爆弾を抱えている水野だけに、危険性はさらに大きい。
 だが、スケベのためなら親も殺すと陰口を叩かれている辻本社長は、簡単には諦めない。
「でもねえ。このシーン、前半の見せ場なんだよねえ。なんとか、ならないかなあ」
「なんともならねえよ。監督だって、こんなとこで事故になって制作中止なんてことにしたくねえだろ」
「ううん、そうなんだけどねえ」
 お互いに譲らない二人の間に、水野が割って入る。
「会長、大丈夫です。私、やります」
「おい、水野、そんなこと言うがな」
「ありがとう、キューティーちゃん! いいビデオにしょうね!」
 水野を説き伏せようとする会長の言葉に割って入って、辻本社長は水野の手を固く握った。
 こうして、このシーンを撮ることが決まったのである。
 実際にやってみると、水野の表情はやはり辛そうだった。もじもじと腰をくねらせながら、それでもできるだけ体を動かすまいと、がんばっているのが傍目にも分かる。
 それでもそのうち、水野の股間に楕円形の染みが浮かんでき始めた。パンティの生地を突き抜けてレオタードの上に染み出してきているのだから、水野の股間はもう、びしょびしょに濡れているはずだ。吊り天井で身動きできない状態で股間をいやらしく弄り回されるという設定に、水野自身もかなり興奮しているようだった。
 リング・サイドの会長が、隣りの女優の肩を押す。
「行って。もう、行って」
 水野の体の震えや、手脚の揺れの具合から会長は、もう水野が、体の力が抜ける状態までいってしまっていると判断したのだ。これ以上続けさせたら、水野は体勢を維持できなくなり、吊り天井が崩れてしまう。
「止めろ! 馬鹿野郎!」
 女子プロレスラーらしい乱暴な口調で飛び込んできた女優は、思い切り平手打ちで打たれて本当になよなよと倒れ込んでしまった。水野の股間を弄っていた男優は、そのまま馬乗りになって女優の上半身を裸に引き毟り、剥き出しになった乳房にしゃぶりついていった。乳首を乱暴に吸われて、女優は足をばたばたさせながら悲鳴を上げている。
 一方、ようやく吊り天井から開放された水野は、うつ伏せの状態のまま、はあはあ息を切らせている。吊り天井のダメージより股間の刺激の方が強烈だったようで、水野は立ち上がることができずにぐったりとしている。
 さっきまで吊り天井を仕掛けていた男優が、後ろから水野に飛び掛り、水野のレオタードを乱暴に引き降ろした。ピリッと小さく、生地が裂ける音がした。
「ああっ!」
 男優の乱暴な脱がせ方に興奮したのか、水野は悩ましい悲鳴を上げたが、体は男優のなすがままになっている。男優は水野の股間に膝を割り込ませ、後ろからお尻を持ち上げさせると、両手を前に回し込んで水野の乳房をわさわさと揉んだ。
「ああっ! ああっ!」
 男優に身を任せたまま、水野は悩ましい声を上げ続けている。隣りの女優の声と水野の声がハモって、リング上はいやらしい雰囲気で一杯になる。

 最後に水野ともう一人の女優は、ロープに磔にされた。全裸に剥かれた二人の両腕は左右に大きく開かれ、捻り合わされたロープに挟まれて動けない。足の片方はコーナー・ポストに括り付けられた縄で引っ張られ、もう片方の足は二人の足を縄で繋がれている。一人が堪らず脚を閉じようとすれば、もう一人の脚が一層大きく開いてしまうという仕掛けだ。
 二人の男優は、水野ともう一人の女優、それぞれにフェラチオをしてもらっている。さっきまでバイブやローターで散々責められた二人の股間は、今もぬらぬらと濡れそぼち、ひくひく動いている。
 そして男優二人は、申し合わせたように男根を口から引き剥がし、水野と女優のヴァギナにぶち込んだ。
「ああああっ!」
「い、いゃあっ!」
 二人の悲鳴が重なる。股間を貫く男根の淫らな動きに、水野も、隣りの女優も、半狂乱の状態で全身を震わせている。
「あああっ! い、いくっ! いきそうっ!」
「や、やだ、いっちゃうよ! い、いっちゃううっ!」
 二人の悩ましいコーラスを聴きながら、耕平は安心したように肩の力を抜く。
 このシーンを撮り終わったら、リングのシーンは終わる。明日は本格的な緊縛の撮影になるが、今日の様子ならもう大丈夫だろう。
「お疲れさん、耕平ちゃん。今回もよくやってくれたね。ほら、今回のギャラ、渡しとくね」
「どうもすみません」
 受け取ろうとする耕平の手から、封筒がさっとさらわれる。あっと声を出して見てみると、道田だった。
「あっ、道田さん!」
「耕平、今回の仕事、お前はほとんど何もしていないよな。ほとんど、俺のは働きだよな」
「でも、筋書きを書いたのは僕だし………」
「とにかく、このギャラの半分は俺のものだ。文句無いよな」
「でも、道田さんにはもう、ちゃんとお礼を」
「それはそれ、これはこれだ。良いな? 文句無いな?」
 先輩の大俳優には逆らえない。耕平はしょぼんと下を向き、しぶしぶ頷いた。
 道田の目が、にこっと笑う。
「じゃ、な。また、面白い話があったら呼んでくれよ」
 道田の後ろ姿を恨めそうに眺めながら、耕平は小声で呟いた。
「二度と、呼ぶものか」
 耕平の後ろでは、水野と女優の声がまだ続いている。だんだん息が荒くなっていく二人は、もうオルガスムス直前の状態だった。

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