「あっ! な、何を……」
美照尼の言葉が途切れた。後ろから、女忍者が猿轡を噛ませてきたのだ。どうやら、美照尼が舌を噛み切らないようにという用心らしい。
なんとか縛めから逃れようと、美照尼は藻掻く。だが、いくら暴れても、縄は一向に緩む気配が無かった。
「くっ!」
後ろから突然着物の胸元を引き広げられて、美照尼は悶えた。出家した者にはおよそ似つかわしくない、煽情的な乳房が露わにされる。
「う、うふうっ!」
「おや、なんていやらしいお乳なんだろうね。ごらんな、慈恵尼。こんないやらしいお乳を、お前今まで、見たことあるかえ?」
「まあ、おほほ。ほんにいやらしいこと。いいえ、ございません。美照尼、お前はなんと淫らなお乳をしているのだろう。そんなことでは、とても悟りは開けませんぞ」
二人の言葉嬲りに、美照尼は恥ずかしそうにいやいやをする。
(お願い、やめて。言わないで)
両手の利かない形に縛り上げられて、このように乳房を剥き出しにされて、言葉で辱められる。こんな仕打ちに美照尼は慣れていなかった。松永久秀は荒武者らしい乱暴で独り善がりのやり方で美照尼を抱いたのだが、言葉で美照尼の羞恥心を煽るというような責め方はしてこなかった。
「うっ!」
後ろに回っていた女忍者が、美照尼の乳房に手を伸ばしてきた。両手で乳房を鷲掴みにし、それをさわさわと揉み始めた。
「ううっ! ううっ!」
人差し指を除いた八本の指で、乳房を包み込むようにして揉む。それだけでもう、美照尼は腰の力が抜けて、抵抗する気力が萎えてくるのだった。
おまけに余った二本の人差し指は、時々思い出したように、美照尼の隙を衝くかのように乳首をぴんと弾いていく。その度に美照尼の体は撥ねて、猿轡の下から切羽詰まった呻き声を洩らしてしまう。
「これこれ美照尼、お前はなんて恥ずかしい声を出すのだえ。それが仏に仕える身のすることか」
次第に余裕を失っていく美照尼の様子に、妙徳尼はますます嵩にかかって屈辱的な言葉を投げてくる。美照尼は、頭がくらくらして、何も考えられなくなってくる。
そんな美照尼の耳元で、妙徳尼は小声で囁く。
「悶え狂うんだよ、美照尼。もっともっといやらしい女になるんだ」
「うっ! ふ、ふううっ!」
「そのうちお前も、あの百姓たちに抱かれたくて仕方が無くなる。私たちが、お前をそういう女に変えてやるのさ」
「うううっ! うううっ!」
美照尼は必死で頭を横に振り、妙徳尼の言葉を否定する。
(ならない。私は絶対に、そんな女にはならない)
健気に抵抗しようとする美照尼の姿を微笑ましげに眺めながら、妙徳尼はさらに言葉を続ける。
「美照尼、お前は、獣のように淫らな尼になるのじゃ」
「ふ、ふううっ!」
妙徳尼の言葉が、美照尼の心を逆撫でにしていく。美照尼は、本当に自分が、獣になろうとしているような気がしてきた。
くノ一の愛撫は、美照尼の官能を確実に炙っていく。そして耳元で囁かれる妙徳尼の言葉は、まるで催眠術でも掛けているように、美照尼の心の奥の嫌らしさ、淫らさを引き出していくのだった。
「さて、それでは、美照尼の乳首を味わってみようかね」
妙徳尼は、横に居た慈恵尼に目で合図を送る。心得顔で慈恵尼は、美照尼の右の乳房の前に跪く。
そして慈恵尼は、美照尼の乳首を口に含んだ。
「くぅっ! うふうっ!」
電気が走ったように、美照尼の体が震える。美照尼の目がほんの一瞬、白目になった。
指の感触とはまったく違う、柔らかくて淫らな唇の感触。乳首をその唇に挟まれて、先端を舌先でちろちろと舐められる。それだけで、美照尼の理性は負けそうになった。
「どうだえ、慈恵尼。美照尼の乳首の味は」
「はい。とても美味しゅうございます」
「くうううっ!」
慈恵尼は、美照尼の乳首を咥えたまま話している。話すために動く唇の感触と吐き出される息の感触とが、美照尼の官能をますます煽る。腰を振るわせながら、美照尼はまた悶えた。
「そうかえ。それならば、私も、味わってみようかねえ」
「ぐうっ! ぐふぅっ!」
もう片方の乳首を妙徳尼に咥えられ、美照尼はますます激しく悶えた。
乳房の裾野をくノ一の巧みな愛撫で刺激され、双つの乳首を二人の尼の唇で刺激される。あまりの刺激の凄まじさに、美照尼は今にも気を失ってしまいそうだった。それを、意志の力だけで、必死に持ち堪えているのである。
美照尼は、真砂の姿を探した。
美照尼が緊縛された時、真砂も縛られた。美照尼が猿轡を噛まされた時、真砂も噛まされた。真砂に助けを求めても無駄なことは百も承知だ。それでも今の美照尼にとって、縋れる相手は真砂しか居なかった。
だが、真砂の姿を見て、美照尼は絶望した。
「はあっ、ああっ、だ、駄目ぇ! い、いやあっ!」
熟れた女の体は、若い美照尼の体よりも脆かった。真砂の体はすでに、くノ一たちの愛撫に溺れ切ってしまっていた。
真砂の双つの乳首を、それぞれくノ一が口に含んで愛撫していた。下半身も剥き出しにされ、そこにも一人、くノ一が張り付いて、敏感な辺りを舐めている。時々、特に過敏な場所に舌が当たるのだろう。真砂の体ががくがくっと震えた。
真砂の猿轡はすでに外されている。もう、それをしておく必要も無いくらいに、真砂は理性を失っていた。自由になった口から発せられるのは助けを求める声ではなく、喘ぎや呻き、そして、くノ一たちに甘えるような哀願の言葉ばかりだった。
四人めのくノ一が真砂の顎を持ち上げ、唇を吸おうとする。真砂は自分から、その唇を求めていく。
「うううっ! うううっ!」
(真砂! 真砂!)
猿轡の下から、美照尼は必死で真砂を呼ぶ。だが、真砂は美照尼の方に顔を向けようともしない。真砂の意識の中からは、既に美照尼のことも、奉公のことも消えていた。
あるのは、暴力的に真砂の体を揺さぶり動かす、官能の激しさだけだった。
美照尼は、絶望した。ただ大人しく、妙徳尼たちの陵辱に耐えることしか、今の美照尼には許されていないことを思い知らされた。
「くっ! くうううっ!」
美照尼の反応が弱ってきたことを察知した女忍者は、美照尼の下半身を開けさせた。そして両脚を、強引に割り裂いた。
美照尼は慌てて脚を閉じようとする。だが、女忍者の腕がそれを許さない。
そして忍者は、美照尼の股間に唇を押し当てた。
「ふ、うううっ!」
切なげな声を一声洩らして、美照尼の全身から力が抜けた。美照尼もまた、己の理性の痺れに流されようとしていた。
その様子を見て、相変わらず美照尼の乳首を舐めながら、妙徳尼と慈恵尼は、そっと目を見合わせ、そして会心の笑みを浮かべた。
その時、突然、外で声がした。
それは、荒々しい男たちの怒号であった。
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