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 美照尼と真砂に対する責めは深更まで続いた。
 二人は同じ格好で縛られていた。右手と右足、左手と左足を繋がれて、お尻を高く突き上げた状態で、並んで転がされていた。
 同じなのは縛りだけではない。二人に愛撫を加えているくノ一たちは、愛撫の仕方まで揃えていた。
 それを妙徳尼と慈恵尼が、面白そうに眺めている。贅を尽くした料理と酒を並べた膳を前に置き、劣情に悶え乱れる美照尼と真砂の痴態を楽しんでいるのだった。
「ほほほ、美照尼、そのように淫らに腰を振るでない」
「真砂、どこまで淫らな声を出すのじゃ」
 妙徳尼と慈恵尼は、同じ愛撫に乱れる二人を眺めながら、また一方で、二人の反応の違いを楽しんでいるのだった。
「ぐふうっ! ああ、そこっ! そこ、すごい! ああ、だ、駄目ぇ!」
 真砂は、激しく体を震わせる。
 熟した体を持つ真砂は、愛撫に対する反応も大きく、直接的だった。
「あはあっ! だ、駄目え」
 美照尼も、何度かいかされてはいた。
 だが、生来禁欲的な美照尼は、ともすれば劣情に呑み込まれてしまいそうな理性を、必死で支えていた。この淫らな責めの中で、なんとか自分を見失うまいと頑張っていた。
 その美照尼にも、敗北の瞬間が近付いてきている。
 一度いかされるたびに敏感になっていく美照尼の体に、今にも、強烈な快感の波が押し寄せてこようとしている。それは、さっきまでの波とは比べ物にならないほどの、おそらく、美照尼がこれまでの人生で一度も体験したことが無いほどの、強烈なものだろう。
 美照尼は、その瞬間を怖れた。これまで自分を支えてきた意識が失われて、ただの淫らなけだものに変わってしまう瞬間が、目の前に訪れようとしているのだ。
 美照尼は、その瞬間を怖れた。
「あっ! あっ! あっ!」
 腰が、ぶるぶると震える。止めようとしても止まらない。
 こんなことはさっきから何度もあった。さっきまでと違うのは、腰の奥から突き上げてくる感覚の強烈さだった。
「だ、駄目! ああっ! ほ、本当に駄目っ!」
 何か考えようとしても、まとまらない。ただ、くノ一たちに与えられる愛撫に反応する辛さ、切なさ、心地好さばかりが、強烈に美照尼の心を支配していた。
「こ、怖い! ああ、変になる、変になっちゃうう!」
 そして、美照尼の意識が弾けた。体ががくっと撥ねて、くノ一たちの体は一瞬、弾き飛ばされた。
「ほほほほ、美照尼の、なんと凄まじい乱れ方よ」
 妙徳尼と慈恵尼は、お互いの膝を叩きながら、さも面白そうに笑い転げた。
「あああああっ! い、いきそう! い、いくうっ!」
 美照尼の体を、また新たな絶頂が捉えた。美照尼の体がぐうっと反り返り、がくっと撥ねる。
「駄目、もう駄目、駄目駄目駄目駄目、ああああっ! い、いくうっ!」
 そして美照尼は、さらに強烈な絶頂に追い上げられた。くノ一たちがまた、弾き飛ばされて尻餅を搗く。妙徳尼と慈恵尼がまた、笑い転げる。
「美照尼よ、お前がそんなに淫らな女だとは思わなかったぞ」
「そのようにはしたなくては、とても仏様の功徳は望めませぬぞ」
「妙徳尼様」
 はしゃいでいる妙徳尼と慈恵尼の方を向いて、くノ一の一人が目配せをする。
「なんじゃ、お市」
「こちらへ」
 くノ一のただならぬ様子に、妙徳尼はちょっと白けた様子で近付いてきた。そして、今も悶絶し続けている美照尼の背中を見て、思わず声を上げた。
 さっきから悶え続けている美照尼の体は、上気して真っ赤に染まっている。その、上気している背中に、うっすらと何かの模様が浮かび上がってきているのだ。
「な、なんじゃ、これは? このようなものは、さっきまで無かったぞ」
「透かし彫りでございましょう」
「透かし彫り?」
「日頃は見えませぬが、体が火照ってくると肌の下から浮かんでくる彫り物でございます。普通は入浴して血行がよくなるだけで表れてくるものでございますが、これほど昂奮しなければ出てこないとは、よほどのたくみが彫り上げたものでございましょう」
 妙徳尼は、もう一度その透かし彫りを眺める。これほどの昂奮状態でもまだ不十分というのであろうか、その図柄は薄くてはっきりとしなかった。しかも、責め手が一人少なくなって落ち着いてきたのだろうか、その図柄はまた、次第に消えていきつつある。
「真砂は捨て置け。五人、総出で美照尼を責めよ」
 命令を受けたくノ一たちは、一斉に美照尼の体に飛びかかっていった。
「ひ、ひいいいっ! い、いやあっ!」
 さっきの三人がかりの責めだけでも、美照尼は失神寸前の状態まで追い上げられていた。それが今度は五人がかりなのである。美照尼は恐怖のあまり、絶叫した。
 次の瞬間、美照尼の体が撥ねた。達したのである。すぐにまた、撥ねた。もはや、美照尼の体は、絶頂と絶頂の間の時間より、その瞬間の時間の方が長くなり始めている。もういきっ放しの状態と言った方が正解かもしれない。
 今度こそ、美照尼の背中の模様はくっきりとした形になった。
「どこかの、地図のようじゃの」
「そのようでございますな」
「なにやら印が入れられている。そこに何か隠しているということか」
「おそらく、さようでございましょう」
「慈恵尼、この地図を描き写しておけ」
「はっ」
 急いで紙と筆を持ってきた慈恵尼は、慌ててその図面を写していく。その間も、妙徳尼は背中の模様を眺めながら、なにやらしきりに独り言を言っている。
「どこやら、山であるようじゃ。だが、方角も定かでなければ、目印になる場所も何一つ書き込まれておらぬ。……美照尼は、松永久秀の側室であったな。するとこの山は、信貴山か」
「は、はあああっ、はああああっ、ひ、ひいいいっ!」
 美照尼は、なおも悶え続けている。品の良い顔立ちの美照尼が白目を剥き、涎を垂らしながら悶え続けている様は、壮絶であった。
 一方、その隣りでは、真砂が悶え狂っている。
 すでに真砂の体には誰も触れてはいない。だが、横から絶えず聞こえてくる美照尼の声に感応して、真砂の体は熱く燃え続けていた。
 燃え続けていながら、誰にも触れてもらえない。そのもどかしさに、真砂は涙を流しながら悶絶した。
「お、お願い、私を」
 横でまた、美照尼がいった。その瞬間真砂は、まるで自分がいかされたように体を震わせ、腰を動かした。
「ああ、誰か、誰か私の女陰ほとに触れてぇ! く、狂わせてぇ!」
 だが、その声に応えてくれる者は誰も居なかった。真砂は股間を愛液で濡らしながら、身悶えを繰り返すのだった。

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