夜中過ぎ、お清はむくりと身を起こした。
隣りでは、軍兵衛が軽いいびきを掻いて寝入っている。日頃は眠りの浅い男なのだが、緊張の連続で疲れているのだろう。お清の動作にも反応せず、ぐっすりと寝入っている。
お清は立ち上がった。そして、ゆっくりと歩き始めた。
まるで散歩を楽しんでいるかのように、お清は悠然と歩いていく。周りに居るかもしれない敵に注意を払っている様子も無く、平然と歩いている。
それでいて、お清の表情には驚きと戸惑いの色が浮かんでいた。
(一体、どうなっているんだ?)
お清の体が起き出し、こうして歩いているのは、お清の意思ではなかった。自分の足が今、どこに向かってあるいているのか、見当も付かない。
そもそも、なぜ、お清の体はお清の意思に反して動き始めたのか。
お清は、寺の警護をしている五人の忍者の、最後の一人の名前を思い出していた。
操り細工の市
操り細工というのは、他の人間を操り人形のように自由に操るという意味なのではないか。もしかすると今、自分は、お市という名の女忍者の術に囚われているのではないだろうか。
お清は身悶えした。なんとか術から、逃れようと足掻いた。
せめて、今の自分の危機を軍兵衛に伝えたい。自分の行く先を軍兵衛に残したい。
だが、全ては徒労だった。指先一本、お清は自分の意思で動かすことができない。
お清の体は、どうやら妙韻寺を目指しているらしい。敵の忍びが警戒しているに違いない場所に、お清の体は無防備に踏み込んでいく。
妙韻寺の山門をくぐる。寺の裏に回りこむようにして踏み込んでいくと、奥まった一角に、人影があった。
初老の尼と、中年の尼の二人、それに、忍び装束のくノ一が二人、お清を迎えるように立っている。
初老の尼は、お清の姿を見て、にこやかに微笑みかけてきた。
「よく参られましたな」
「……お前は、一体何者じゃ」
初老の尼は、ほほほとおかしそうに笑ってみせる。
「それはこちらの台詞であろう。寺社の敷地内に勝手に踏み入り、警護の者を次々に殺める。一体お前たちは何者なのじゃ」
言われてお清、口ごもる。確かに、尼の言葉の方が正当なのである。軍兵衛とお清は、この寺の者にとっては単なる闖入者に過ぎない。
「そう訊かれても、簡単には答えられまいなあ。それならお前の、体に訊くまでじゃ」
お清の手が動き始める。自分の衿元を両手で掴むと、一気に左右に引き割った。
「あっ!」
さすがのお清も、狼狽えて声を上げた。
寛げられた胸元から、晒しを巻いて押さえ付けているたわわな乳房が飛び出してくる。お清の手はさらに、その晒しも下に押し下げてしまう。熟れた、豊満な乳房が、姿を現す。
「さあ。奥に来るがよい」
「ううっ!」
尼の言葉に誘われるように、お清は寺の縁側に上がっていく。そうしながら一方で、次々に着物を脱いでいく。後ろで中年の尼が障子を閉じる音を聞いた時、お清はすでに生まれたままの素っ裸になっていた。
その時、お清は気が付いた。くノ一の一人が、妙な動きをしている。自分の着物を脱いでいく訳ではないのだが、まるで着物を脱ぐような仕草をしている。
そしてお清の体は、そのくノ一の動作と同じように動いているのだった。
(こ、このくノ一が、操り細工の市)
お清の視線に気が付いたのだろう、市はにやっと笑ってみせて、そして自分の乳房をぎゅっと握り締めた。
「ううっ!、く、くうっ!」
お清の手も、自分の乳房をやわやわと揉みしだき始める。まるで自分の手でないような、人の手に揉まれているような乳房の感覚に、思わず声を上げて悶えてしまう。
もう一人のくノ一が、お清の唇を塞ごうとする。お清の口が、それを迎えに行く。
お清の意思でそうしているのではない。市がお清を、そのように動かしているのだ。
口の中に舌が割り込んできた時、お清はそれを噛み切ろうとした。だが、顎の動きさえ、市に支配されているのだった。お清は逆に、舌を受け入れるようにして口を大きく開く。くノ一の舌先とお清の舌先が、妖しく縺れ合っていく。
「ふうっ! ふううっ!」
二人の尼が、お清の下半身を責める。陰核と膣、お尻の穴の三箇所を同時に責められ、お清はいつか、忍びの構えを忘れていく。
そんなお清にとどめを刺すかのように、お清の指先が乳首を強く押し潰す。お清の口から悲鳴のような喘ぎ声が洩れる。膝の力がかくんと抜けてしまいそうになる。
だが、操り細工の市は、お清が座り込むことを許さなかった。
「せいぜい頑張ることじゃ。簡単に口を割られたのでは、楽しみが減ってしまうでのう」
妙徳尼の言葉嬲りに、お清は力無くいやいやを繰り返すばかりだった。
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