「ああっ! ああああっ!」
お清は、切ない悲鳴を上げながら、身を震わせる。
大の字になって身動きならないお清の股間に真砂が取り付いている。お清の陰核を、膣の入り口を、真砂の舌が舐め回していく。
お清の乳房を、慈恵尼と美照尼(紗江)が責める。左右からお清の乳房を揉み、乳首を口に含む。
首から上を責めるのは妙徳尼だった。老いさらばえた醜い顔を歪ませながら、お清の耳を、唇を、首筋を、いやらしく舐め回していく。
お清の姿を鏡に写したように、全裸の女忍者が大の字に横たわっている。操り細工の市であった。今、お清の体を拘束しているものは縄ではない。市の忍術なのだった。
お清の股間を舐める真砂の動きに合わせて、市はことさら大きく股を開く。すると市の動きに合わせて、お清の股も大きく開かれていくのであった。
「あっ」
お清が、小さく声を上げる。突然、上半身が引き起こされたのだ。いや、正確には、お清が自分で上半身を引き起こしたのだが。見ると、目の前の市も上半身を起こしている。
そして市は両腕を上げ、悩ましげに手を頭の上で組む。腋の下のうっすらとした毛が露わにされる。
お清もまた、悩ましげに両手を上げる。お清の腋の下には、市の腋毛よりも濃い、うっそうとした毛が生えている。
「うあああっ!」
無防備に開かれた両腋に、慈恵尼と美照尼の舌が這う。お清の腋毛を舌先で捏ねるように、淫らな動きでお清を責める。
お清はぶるぶるっと身震いした。乳房と股間を同時に責められながらの腋壷責めは、これまで感じたことの無い異常な感覚をお清にもたらした。
「吐くのじゃ、女。お前は誰に雇われ、何の目的で忍んできたのじゃ」
「ああああっ! く、くそおっ!」
劣情に身を任してしまいそうになる自分と必死で戦いながら、お清は叫んだ。忘我の状態にされ、秘密を聞き出されることを畏れたのである。
いっそ、舌を噛み切って死んでしまいたい。忍びの心得としては、当然そうするべきなのである。
だが、お清の動きを支配している市には、逆にお清の動きが読めるらしい。舌を噛もうとするととたんに、お清の口は、舌は自由が利かなくなり、どうしても死ぬことができないのだ。
「言いやれ。お前の名前はなんと言う」
「ああああっ! うわああああっ!」
「まったく強情な女じゃ。じゃが、いつまでそれが持つかのう」
そう言いながらふとお清の背中に目をやった、妙徳尼の顔が強張った。
「慈恵尼、来やれ」
「は?」
呼ばれた慈恵尼、お清への愛撫の手を止めて、妙徳尼のそばに近付いていく。
「これを見よ」
「あっ!」
指差された先を見て、慈恵尼は声を上げた。お清の背中にうっすらと、何かが浮かんできている。まだその形は判然とはしないが、それは美照尼と同じ透かし彫りであるように見えた。
「お市、背中をもっと見せてくりゃれ」
「はっ!」
言われて市、上半身をぐっと前に倒す。お清は必死で逆らおうとするが、結局同じように、体を倒されてしまう。
「おう、だんだん形がはっきりしてくる。どうやら文字のようじゃ。慈恵尼、この女をもっと昂奮させるのじゃ」
「はいっ!」
慈恵尼がまた、お清の乳房に取り付こうとしたその瞬間、銀糸が光った。悲鳴一つ上げる余裕も無い。市の首がひゅんと飛んで、真砂の目の前にごとんと落ちる。真砂は驚いて尻餅を搗き、けたたましい叫び声を上げる。市の体から滝のような血しぶきが上がり、その場に居た者の頭の上に降りかかる。
「だ、誰じゃ!」
妙徳尼が障子を開け放つと、そこには、全裸にされた小暮が居た。銀糸を放って市の首を落としたのは小暮であった。体をくの字に曲げた妙な格好をしているのは、後ろに立っている軍兵衛に貫かれているからである。
「お清! 逃げよ!」
「おのれ、曲者!」
妙徳尼が、何やら妖しげな呪文を唱える。
妙徳尼たちの居る部屋の中が、一面、雲のようなもので覆われていく。そしてその中から現れてきたのは……
巨大な龍であった。
「うわあっ!」
さすがの軍兵衛も、驚きの声を上げて後ろ様に倒れる。龍は天地を揺るがすような大音声で吼えて、軍兵衛を丸呑みにしうと襲いかかってくる。
「うわあっ! く、来るな! 来るなあっ!」
「軍兵衛、しっかり! さあ、こちらへ! こちらへ!」
軍兵衛を庇うようにしながら、小暮はその場を立ち去ろうとする。その時、もう一人、全裸の女が飛んできた。女は軍兵衛と小暮の間に割って入ると、殺気に満ちた目で小暮を睨んだ。
それは、市の妖術の呪縛から解き放たれた、お清だった。
振り向き様、お清は軍兵衛の腰の小刀を抜き放ち、小暮の体を下から上へと切り上げた。ばっと血しぶきが上がり、小暮の体が後ろ様に倒れる。
「軍兵衛様! 逃げますぞ!」
「うわあっ! ああああっ!」
なおも怯え、悶えている軍兵衛を抱えるようにして、お清は走った。後ろから、妙徳尼の放つ手裏剣が飛ぶ。お清はそれを、血刀で弾き返しながら、夜の闇の中に消えていった。
寺から遠く離れた森の中まで逃れて、二人はようやく人心地ついた。軍兵衛は地面にぺたりと座り込み、荒い息を吐いている。
「ようやく護衛の忍びを片付けたと思ったが、あの尼めも忍術使いだったらしい。厄介じゃな」
手拭いで汗を拭いながら、先ほどの恐怖が甦ってきたのであろう、軍兵衛は顔をしかめた。
「お清、なぜ小暮を殺したのじゃ。あの女の銀糸の術は、役に立ったであろうものを。……お清?」
「あの忍びをお抱きになりましたな」
「それは、いつものことで」
「あの忍びは、軍兵衛様を呼び捨てにしました。馴れ馴れしい、軍兵衛などと。まるで、恋人気取りで。軍兵衛などと」
「いや、それは……、あっ!」
お清が軍兵衛を押し倒す。そして、さっきまで小暮の体の中に収まっていた軍兵衛の魔羅にしゃぶりつく。まるで、軍兵衛の魔羅に纏わりついている汚らわしい愛液を、舌先で残らず舐め取ってしまおうとするかのように。
「お清」
「死んだ女のことなど、お忘れなさいませ。いや、お清が、忘れさせてあげます」
そしてまた、お清は軍兵衛の魔羅にむしゃぶり付く。寺での快楽責めの余韻がまだ残っているのであろう。お清の目は、妖しく濡れていた。久し振りに見るお清の女の顔に、軍兵衛は呆然と見とれている。
やがて、龍の恐怖で萎え切っていた股間のものが、むくむくと鎌首を擡げてくる。
「お清!」
軍兵衛はがばっと身を起こすと、お清を押し倒した。乱暴に、お清を四つん這いの姿勢にさせると、後ろからお清を刺し貫く。ああっと切ない声を上げて、お清が悶える。
「ああっ、い、好い!」
さっきまでの快楽責めに気丈に耐えていたお清が、今は簡単に軍兵衛に屈服しまっている。あれほどの快楽責めでぼんやりとしか浮かんでこなかった透かし彫りが、今はくっきりと表れている。
「あああっ! 軍兵衛様! 軍兵衛様!」
「突き殺すぞ、お清! 儂はお前を、突き殺してくれよう」
「殺してくださりませ、お清を! 軍兵衛様に、殺されたい。ああ、殺して!」
深夜の森の中、二匹の獣と化した軍兵衛とお清は、絡み合うようにしてお互いを求め続けた。
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